自分から求め動いたことによって、現在の仕事の流儀につながる大切な出会いを引き寄せました。
大学時代はアメフト部のマネージャーとして、部員一丸となって日本一を目指す充実した日々を送りました。そのときに、みんなが輝けるような環境をつくるという自身のスタイルを確立したように思います。大学卒業後は、就職したものの何かが違うと感じ、改めて自分がやってみたい仕事について考えるようになりました。ちょうどその頃、IDÉE(イデー)創業者の黒崎輝男さんが『スクーリングパッド』※という学校をはじめるということを聞き、「面白そうだ」と思い受講することに。改めて振り返ると、黒崎さんとの出会いが衝撃的で、今の自分の仕事のスタイルをつくる基になったと思います。実は、受講してみて、自分がどんな仕事をしたいのかについてはますます混迷を極めたのですが、結果的には、“こうあるべきだ”という既成概念に縛られることなく、「もっと自由に生きていいんだ」ということをつかみ取ることができました。
その後、縁あって上海でデザイン会社の立上げに参加し、毎日何らかのハプニングが起きるなか、精神的なタフさを身につけました。問題にどう立ち向かうか、あるいは立ち向かわずどうしなやかに流すかを学んだことは、現在の仕事にも役立っています。2年半後、上海から帰国して『自由大学』で働くことになりましたが、当初は学長というポジションはありませんでした。2011年に学長をすることになった際も、「何でもやってみよう」という質なので、とくに迷うことなく引き受けました。
『自由大学』は、「大きく学び、自由に生きる」をテーマに、2009年開校以来100種類以上のユニークな短期講座を実施しています。学びたい人や教える人など、多くのさまざまな人たちがやってきて刺激を与えあう場所なので、そこがうまく回っていくような状態に整えたり、時にかき混ぜたりするというのが今の私の仕事です。学長というのは、畑の土みたいなものかもしれません。いろいろな植物が芽吹き、美味しい実がなるよう居心地の良い環境を作る。もちろん1人でできることには限りがあるので、みんなの力を借りまくります。たとえ転んでしまっても、また起き上がればいいし案外そこから学ぶことが多いと思っているので、冒険がちです。やる前にいろいろ考え込むより、まず動いてやってみる。ダメならやり方を変えてみる、ないなら作る。それが私なりの仕事の流儀。そのように動くためにも、何が問題かという物事の芯とか本質をしっかり捉えていけるよう心がけています。
私にとって働くことは、人生をより楽しくするためのものであり、成長するきっかけをくれるもの。今は母親になってこれまでとは異なる新たな視点が芽生えたので、今後は子どもがいる女性の働き方講座などもやってみたいですし、日々学んで、転びながら考えながら、働くこと=生きることを楽しんでいきたいと思っています。
※『スクーリングパッド』:
デザイン・飲食・映画・農業の4つのクリエイティブなジャンルについて、ゲストスピーカー(講師)とともにディスカッションしていくことを通じて、自らの「生き方」や「働き方」を発見していくビジネススクール
はい。
仕事はお金のためというよりやりたいことをやっているので、たぶん今と同じことをやると思います。
「自由大学」に集うさまざまな人が、ここで人生の転機を迎えたり、みんなの大きなジャンプを見たり聞いたり一緒に体験できるということは、とても嬉しく感動します。
家族。
正義の味方になりたかったです。婦人警官など、自分の正義を貫いている女の人がカッコイイなと、何となく思っていました。
自分で考えて行動する力。“何でも体験してみる”という気持ちを大切にしてほしいですね。
あればどこでも仕事ができる便利なモノだけど、頼りすぎることで不自由になってしまうこともあるので、程よい距離感を保ちたい仲間。でしょうか。
教えてほしいです(笑)
子どもと遊んだりしちゃいそうですが、泳ぎに行ったりしたいです。
『バーバパパのいえさがし』
[アネット・チゾン/タラス・テイラー著/講談社]
子どもの頃から大好きな絵本ですが、“なければ作っちゃおう精神”や家族が一致団結して自分たちの正義を貫き通してしまうところなどは、大人になった今でも改めていいなと思いますし、何よりワクワクするものがつまった本です。
1979年、名古屋生まれ。京都大学在学中は、アメフトのチーフマネジャーとして、150人を超えるチーム運営を経験。卒業後、大手機械メーカーでの営業職、上海でデザイン事務所の立ち上げに携わった後、2009年から自由大学に参加。2011年、学長に就任。