物心ついた頃から動物に関わることをしたいと思っていました。小学生の時、世間はバブルに沸き、「将来は、動物を助ける仕事がしたい」と言う私に、同級生は「そんなの儲からないから、医者か歯医者になったほうがいい」と大人びた助言をくれました。ですが、そんなことは意に介さず、一直線に動物と関わる道へ走り出して現在に至っています。

動物の看護とトリミングについて専門的に学び、学校卒業後は動物病院で3年ちょっと勤めました。それと並行して自分のペットサロンの開業準備も整え、動物病院の退職日翌日には店をオープン。そもそも店を構えるつもりはなかったのですが、動物病院の仕事は体力勝負で、働く人はみな若く、“これは、年をとってからも続けるのは難しいのかも…”と、不安になったのが開業のきっかけです。自分で店を持てば、よぼよぼのおばあちゃんになっても働き続けられますし、動物とずっと関わっていきたかったので決断は早かったです。

開業から5年目の2007年には資金の返済も終わり、浮いたお金で看板犬を飼おうと思い動物愛護センター※1のことを調べたのが、動物保護活動をはじめる契機に。よもや、動物愛護団体の代表を自分がやるとは夢にも思いませんでしたが、周りの人たちに支えられて8年も続けてきています。現在は、ボランティアさんが370人ほど、保護動物は約110頭います。また、東日本大震災の時には、店の定休日前の夜中から福島に向かって動物たちを保護して歩いたのですが、あの時は、寝る時間をとれないほどの忙しさで、現地でばらまく餌を買う時間すらとれなかった。そこで、「被災地に持っていくドッグフード類を、店の前に置いておいてください」とツイートしたら、店の壁が見えないほど積まれていたことがありました。直接会う機会がなくても、見守ってくれる人たちが増えていると感じ、心強く思った瞬間でした。

頭で考えていても答えはでないので、とりあえず動いてみることを信条に、2014年5月に糸井重里さんと、ペットサロンと動物病院、保護動物のシェルターが入った「ミグノンプラン」をオープン。そこで毎月、保護動物の譲渡会※2を行い、多くの人と動物のより良い出会いの場＝橋渡しをする場としても機能しています。個性豊かな犬猫たちを、一頭でも多く幸せにするために働くのが私の仕事の在り方ですし、世の中との接点の持ち方でもあります。

これからも、現在の活動をマイペースで続けていきたいです。“動物のために！”と気負い過ぎて、破綻したら路頭に迷うのは動物たちですし、長く続けていくことが何よりです。さらに今後は、動物ケアの教育も行っていければと考えています。海外では、動物愛護団体で働くのは動物ケアの勉強をしたスペシャリストのみ。動物のために何かしたいと思っている人は多くいるので、日本でもスペシャリスト育成を浸透させていきたいと思っています。

※1 東京都動物愛護相談センター：動物愛護精神や適正飼育の啓発を行い「人と動物が共に快適に暮らせる環境づくり」を推進する拠点（世田谷区、大田区、日野市）。

※2 譲渡会：多数の犬・猫・うさぎたちと新しい家族との出会いの場。かつ、動物を保護するためのボランティアさんとの出会いの場。毎月第2日曜日＆第4土曜日（12：00～16：00）に北参道の「ミグノンプラン」にて開催。

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