No.139
アカウンティング・サース・ジャパン株式会社
代表取締役社長CEO
佐野 徹朗さん
会計の道に進んだのは、アメリカの大学に進学して専攻を決めるときに、“英語での勉強しやすさ”を考えて選んだということもありますが、「会計」はビジネスを正しく見ていくための根幹を成すものなので、その分野の専門家になることにやりがいを感じていました。そして卒業後は、大学で学んだ知識を活かすべくアメリカの会計事務所に就職。主に多国籍企業のアジア系企業の担当として、5年ほど会計監査の仕事に取り組みました。
この5年間は、さまざまな人種のなかで働くことで、日本とのビジネス風土や価値観の違いをはじめ、いろいろなカルチャーに触れることができたという点でとても有意義でしたが、会計士の仕事は、いわば「結果を正しく残すこと」であり、ビジネスの意思決定には関与しません。会計の仕事を続けていくうちに、そこにジレンマを感じるようになり、“ビジネスの主体として、自分で意思決定したい!”という気持ちが強まっていきました。また、会計士として駐在先の日本で働いていた時期に「リーマン・ショック」が起こり、この経験が「働くことや生きることの意味」を改めて考える契機となって、会計士からビジネスの主体という方向転換を決意。そして、2009年にイギリスに渡りビジネスを学び直しました。
MBA取得後は、まずはビジネス修行のために日本のコンサルティング会社に勤務。そこではビジネスの意思決定はできましたが、実際のビジネスをやるわけではないので決して主役ではない。そんなときに、運命的に出会ったのがアカウンティング・サース・ジャパン株式会社(以下、A-SaaS)の創業者でした。
A-SaaSは、会計事務所専業の大手ベンダーで約20年ほど勤めていた前代表が62歳のときに、“クラウドによる会計システムを独自に開発し、会計事務所のシステムイノベーションを目指す”“ことを掲げて設立したベンチャー企業。この会社が成し遂げようとしているのは、「プロにインフラを与える」意義ある仕事だということを知り、さらなる発展のために次世代の経営者としてのオファーを受けました。キャリアチェンジ以降、「世の中にインパクトを与える働き方」を求めていた自分にうってつけの仕事だと思い、迷うことなくビジネスの主体としてチャレンジすることを決めました。
「Quick Win」(小さな成功を早くだす)の精神で、入社から2カ月で過去最高の売上を達成して社員みんなで祝福した時期から約2年が過ぎ、ビジネスは最終的には人と人との関係にあることを日々感じています。自分自身もそうですが、人は納得感があれば真なるパフォーマンスを発揮するもの。会計業務に革命を起こすべく、この先もA-SaaSの仲間とともに、仕事を通じて“生きる意味”を実感していきたいと思います。
『実践経営問答 こうして会社を強くする』[稲盛和夫 著 /PHP研究所 ]
多くの経営者が自分と同じような悩みを抱えていることがわかり、「自分だけではないんだ」と思えましたし、何より読み物として面白い。
アカウンティング・サース・ジャパン株式会社
代表取締役社長CEO
佐野 徹朗(さの・てつろう)さん
1977年生まれ。静岡出身。ケンタッキー州立大学で会計学を専攻し、会計学修士号を取得。2002年にデロイト&トゥシュに入所してロサンゼルスオフィスで多国籍企業の会計監査に従事。その後、渡英し、オックスフォード大学で経営学修士号、ロンドン・ビジネススクールで金融学修士号を取得。帰国後の2011年にボストン・コンサルティング・グループ東京オフィスに入社。2014年5月、アカウンティング・サース・ジャパンに参画、代表取締役に就任。
【2016年6月インタビュー】
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