No.160
EAGLYS 株式会社
代表取締役社長
今林 広樹(いまばやし ひろき)さん
競い合う「競争」ではなく、共に創る「共創」。これが、私が働くうえで大切にしているポリシーです。
小さい頃から、“脳や人の意識”に興味があり手先も器用だったので、親に勧められた脳神経外科か、脳の研究者になりたいと思っていました。それが、大学で「機械学習」と出会い、大学院から本格的にAI(人工知能)についての知識を深めていく過程で、「AIの次にくる社会的課題はなんだろう」と考え、セキュリティの重要性を再認識。今日のようにAIが社会に浸透していくほどに、情報漏えいなどの不安要素がつきまとい、本来価値のある技術が活用されない問題が起きています。そんな人々の不安をなくすためにも、これからの時代は、何よりも「セキュリティファースト」でなければならない。そこで、研究者よりも人や企業に近く、直接的に役立つサービスを生みだすほうが楽しそうだと考え、起業を決意。学生時代にシリコンバレーでスタートアップを立ち上げた経験もあり、やりたいことを自分の責任でコントロールしながら社会に発信してみたかったので、起業することは自然の成り行きでした。
2016年12月に設立したEAGLYSは、Web系から不動産、銀行などさまざまな業種の企業からオファーをいただき、先方がやりたいことをAIに落とし込んでいく受託サービスと、自社開発した『VIKI』というサービスを主軸にしています。『VIKI』は、AI×セキュリティを具現化したエンジンで、1.頭がいい(高精度)、2.処理スピードが速い(高性能)、3.安全の3点が大きな特徴です。次にくる量子コンピューター※時代においても、データを暗号化して安全性を保ちます。人々の不安を払拭し、安心してAIを活用できる世界の実現を目指してプロダクトを作っています。
私がセキュリティを重要視するのは、祖父が保険会社をやっていたことに起因するのかもしれません。“不安”という負の要素に対して、保険は何かあったときの安心になるので、“人は、不安を解消して安心を得ることが「幸せ」につながるんだな”と感じていました。どんなに便利で新しい技術があっても、安心安全なものでなければ人には浸透しない。AIをもっともっと生活に役立てていくためにも、不安を取り除かない限り発展はないと思っています。この先、「セキュリティファースト」を広く浸透させるために、パソコンやスマホに搭載すれば絶対安全な個人ユーザー用のチップなどを生み出し、安心してITを使っていける未来に貢献していきたいです。そして、いつかSFに出てくるような世界を自分の技術で作りあげるのが私の夢です。
私にとって働くことは「価値創造」。IT化で人々が得る情報が均一化され、世界がフラットになってきた今だからこそ、共に創る「共創」の姿勢が大切だと考えています。それぞれ得意な分野で互いを補いあって、組織を越えて共に価値創造していくことが、新たな世界を創っていくと信じています。
※ 量子コンピューター・・・物質の量子力学的な性質を利用して動作するコンピューター。複数の計算を同時に実行でき、スーパーコンピューターの数億倍ともいわれる高速計算が可能とされる。(出典:大辞林 第三版)
EAGLYS 株式会社
代表取締役社長
今林 広樹(いまばやし ひろき)さん
1992年生まれ。広島県出身。小学生時代から脳の働きに興味を持ち、2011年に早稲田大学(先進理工学部生命医科学科)に入学。学部時代、脳の研究を行う傍、独学で人工知能(AI)理論・技術やコンピュータの知識を身につける。2015年、学部卒業後、同大学院コンピュータサイエンス(基幹理工学研究科情報理工/情報通信専攻)に転科。修士1年時に、文部科学省のグローバルアントレプレナー育成促進事業(EDGEプログラム)の一貫でDigital Garage社(米国サンフランシスコ)にデータサイエンティストとして勤務。その後、シリコンバレーのスタートアップでデータ収集解析ツールの開発、AI×HRのスタートアップを共同創業、CTOとして参画。2016年帰国後、研究で複数の論文執筆や国際発表を行い、飛び級して博士課程に進学。研究の社会実装を実現するためEAGLYS 株式会社を設立。
“データを暗号化したまま解析する”セキュリティ技術の研究開発でラジオ出演、「AIモンスター」としてメディアに取り上げられる。文部科学省より情報セキュリティスペシャリスト認定。
【2018年3月インタビュー】
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