No.166
株式会社マクアケ
共同創業者/取締役
坊垣 佳奈さん
自分が心からやりたいことで、かつ社会に貢献できることを生業にする。これが、私の仕事に対する捉え方です。
13年前の就活時は、いろいろな業界を見て回れる絶好の機会と位置づけ、多岐に渡る会社の面接を受け、IT以外の大手企業からも内定をいただきました。そのなかで、“自分の市場価値をもっとも早く上げていくことができそう・・・”という直感でサイバーエージェントに入社。価値を上げるためには、人と違うことをやらないと希少価値は生まれないので、子会社立ち上げの折には自ら手を挙げて参加し、4年目には取締役に就任。その後、2つの子会社の立ち上げフェーズに経営サイドとして参画し、多くの経験を積ませてもらいました。そして、2013年5月、同期の中山ともう1名の取締役、木内と3人で共同創業というかたちで株式会社マクアケを設立。同年8月より、クラウドファンディングプラットフォーム「Makuake」を開始しました。
「Makuake」は、購入型のクラウドファンディング(※)プラットフォームですが、世界中にあるさまざまな課題を改善し、世の中を良くするサービスだと考えています。一例を挙げると、ファッション業界で起きている大量廃棄問題。6割の服が一度も袖を通されずに廃棄されていると言われていますが(40億着の供給に対し、30億着が廃棄)、これはその業界では「仕方ないこと」として続いている慣習です。「Makuake」では、企業からのテストマーケティングの需要も増えつつあり、作る予定のモノを「Makuake」に掲載することで、ユーザーにどのくらい必要とされているか、どのような色や形のものがよいのかを知ることができます。必要とされるものを、必要な分だけ作る。そうすることで、大量廃棄や量産のための低賃金労働などの問題を解決することにつながります。その他、小さいながらも正しいやり方で価値あるモノを作ってきた会社があったとしても、そういうところにはなかなかスポットが当たらず、やむなく消滅の一途をたどることもあります。「Makuake」であればフラットに光を当てることができ、認知度が高まり価値が伝われば、良いものは支持されていきます。コトの例として挙げると、祇園祭の運営費も「Makuake」で集めました。1100年以上続く歴史あるお祭りですが、年々増加する観光客によって警備費などのコストが膨らみ、地元の寄付金だけでは賄えないほどに運営自体が危ぶまれていました。そんな“古き良きコト”に対しても、我々の力を添えていくことで、その素晴らしさを後世に残していくためのお手伝いが叶いました。今後は、日本の良いモノやコトをもっと世界に知ってもらうため、海外展開も進めていく予定です。
私にとっては、このサービスを通してさまざまな問題が解決でき、良いモノやコトが世の中に創出できる&存続できるための仕組みとして「Makuake」が社会に根づいていくことが一番の理想です。その理想を具現化するため、私が信条としているのは、「人の気持ちを考えられること」と「自分に嘘をつかないこと」。ビジネスは、負の要素を抱えていると世の中から長くは支持されないと思うので、常に自分の気持ちに嘘のない状態で、社会の役に立つことを全力でやりきる。そうすることで、お取引先はもとより、周りの仲間や部下とも心の通ったコミュニケーションができると思っています。私にとって働くことは、人生そのもの。だからこそ、「人生で何をしたい?」と問われたときの答えが「自分の仕事」でありたいし、そうなるよう日々動いています。
※購入型クラウンドファンディング:支援者が個人や団体のプロジェクトに出資し、そのプロジェクトが資金調達に成功したら、金銭以外の商品やサービスなどのリターンを受け取ることができる。
『TIMELESS』[朝吹真理子 著 / 新潮社]
2011年の芥川賞を受賞した小説家の2冊めの本。
受賞後、7年も新刊が出せなかった理由が、「最初の3行を書いては消して、を繰り返していたから」という話を聞き、そのこだわり方にプロフェッショナルの神髄と苦悩を感じて衝撃を受けました。こだわって何かを生み出すというのは、そういうことなんだと納得もしましたし、そういうこだわりの末生まれたモノたちに光を当てること、それが自分の仕事であり使命なんだと改めて感じた1冊です。(本の中身とは全く関係ありませんが・・・(笑)。
『自助論』[ サミュエル・スマイルズ 著 / 三笠書房]
必ず新入社員に薦めている本。自分しか自分を助けられない、という話。
株式会社マクアケ
共同創業者/取締役
坊垣 佳奈(ぼうがき かな)さん
1983年兵庫県生まれ茨城県育ち。同志社大学(文学部心理学専攻)卒業後、2006年のサイバーエージェントへの新卒入社と同時に、株式会社サイバー・バズの立ち上げに携わる。2010年には同社の取締役に就任。その後、ゲーム事業子会社2社を経て、2013年5月、株式会社マクアケ(旧株式会社サイバーエージェント・クラウドファンディング)の設立と同時に取締役就任。同年8月より、クラウドファンディングサイト『Makuake』のサービス開始。
【2018年9月インタビュー】
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