「お母さんは本当に仕事が好きなんだね。働いているとき幸せそうだよ」
ある日自宅で長男に言われて、ハッとした。雑誌編集という仕事柄、家で原稿を書くことも多い。というか、大抵、家にいるときもパソコンに向かっている。
そのときは確か「企業の女性活用度調査」に関する仕事をしていた。無論、ニコニコしていたわけではなく、難易度の高い企画であるため、眉間にシワを寄せて文書を入力していたと思うのだが…。でも、その言葉を聞いたとき、自分の生き方を肯定してもらえたような、大きな安堵感を得た。
26歳で日経ウーマンの創刊に携わり、これぞ自分のしたかったこととやりがいを持って臨んだが、子どもの出産等で29歳のときに他の部署に異動した。様々な部署や媒体を経験して、再度ウーマン編集部に配属されたのがちょうど干支が一回りした41歳のときである。
30代は仕事と育児の両立で精一杯。夫婦ともマスコミ関係、地方出身者で頼れる実家や親戚もなく、いつも綱渡り状態だった。子どもたちに対してはいい母親ではないという罪悪感があり、仕事にもベストな結果を残してきたかと問われると自信はない。ただ、目の前にある仕事に対してはどんなことでも面白がり、手を抜かず、一生懸命やってきたとは思う。
その結果、回りまわってまたウーマンに戻り、そればかりか今、思いがけず、編集長という立場になった。振り返るとなんとまあ回り道をしたものだなと思うし、「遅咲きですね」とおっしゃる方もいる(咲いているかどうかは自分では分からないが)。
でも、仕事とは面白い。自分の経験してきたことすべてが生かされる。よいことも、悪いことも何ひとつ無駄なく生かすことが出来る。そして仕事には「時分」というものがあるのだろうとも思う。育児のひと段落した今40代でこのような場を与えられ、ずっと申し訳ないと思っていた子どもから、冒頭の宝物のような言葉をもらったのだから。
子どもを抱えて働いてきた私が思うことは、女性も男性も、仕事も暮らしも子育てもシェアできる社会であればいいということ。日経ウーマンを通じて働く女性をサポートするだけでなく、そういう社会づくりのために貢献したい。それが、今の自分のミッションであると思う。
とても好き。ミッションとやりがいを感じている。24時間すべてを捧げているかも。
家族でのんびり世界旅行。社会貢献性の高い、女性主体の事業に投資する。
取材した女性の方から珠玉の言葉を伺った時。有名人ではない市井の方に多いです。
家族(子ども・夫・両親・兄弟)。
作家。ジャーナリスト。スポーツライター
自分なりの価値観・生きる軸を持つこと。自分の頭で考え、判断できること。
こんなに長時間見つめあっているものはありませんね。
ミッションを感じること。無私であること。あくなき情熱を持ち続けること。真摯であること。
子どもたちと野外のロックフェスに行って、大声で歌う。
『若者が働くとき―「使い捨てられ」も「燃えつき」もせず』
[熊沢誠 著/ミネルヴァ書房]
『労働ダンピング―雇用の多様化の果てに』
[中野麻美 著/岩波書店]
『会社の品格』
[小笹芳央 著/幻冬舎]
『生き延びるための思想―ジェンダー平等の罠』
[上野千鶴子 著/岩波書店]
1962年秋田県生まれ。筑波大学第一学群人文学類卒業(フランス哲学専攻)。84年に日経ホーム出版社入社。88年『日経ウーマン』創刊に携わる。以後、主婦向け月刊誌『ショッピング』、『グッドハウスキーピング日本版』、エコロジー雑誌『日経エコ21』、日経ウーマン別冊『ココカラ』編集部等を経て、03年より『日経ウーマン』編集部に異動。06年より現職。一男一女の母でもある。