船長さん、小児科のお医者さん、建築家・・・、子どもの頃、憧れていた職業は数々ありました。現在に至るまで、さまざまな出会いを通じていくつかの活動や事業に携わってきましたが、昔も今も変わらないのは、「やりたいことをやる、常に自分が信じられることをする」ということです。
2007年の夏から、仲間と一緒に『仕事の学校』をはじめました。いろいろなところで「○○力」って目にしますよね。何かの「力」を身につけようとみんな必死です。力があれば、強くなれる。強くなれば、勝てる。負けない。負けずに勝てば、幸せになれる。そう信じている人が多いのかなぁと思います。でも、本当にそうでしょうか?「力」だけを身につければ、幸せになるのでしょうか。「力」を身につけた人が増えれば、この世の中は良くなるのでしょうか。僕は、そうは思いません。仕事観、教育観、結婚観、人生観などいろいろな「観」ってありますよね。こういったことのおおもとは、その人が「大切にしたいこと」だと思います。「観」、つまり、自分が大切にしたいこと。僕らがやっている仕事の学校は、「力」の前に、もっとこの「観」を取り扱い、一人ひとりの「大切にしたいこと」を、対話を通じて確かめる時間と場です。
冒頭で触れた、「やりたいことをやる」というのは、「大切にしたいことを、大切にし続ける」ということです。このことは僕にとって、仕事をするうえで、そして生きるうえでとても大切なことです。あきらめたり、妥協することは極力したくない。自分の大切にしているものを見失わず、心にしっかり抱いて生きていく。そんなふうに僕は日々思っています。
はい。
難しい質問だなぁ。一生困らないほどのお金が手に入った人も、けっこういろいろ困ってるでしょうね。「仕事以外」と言われると、「仕事」と「それ以外」の境目って何だろうと考えちゃいます。
あります。妻の出産に立ち会った時。4人の子ども全員の出産に立ち会いましたが、本当にすごいなぁと。こうして世界中で子どもが生まれ続けることで世の中は続いていくし、社会が形成されていく。「うまれる」ことはすべての原点なのだと改めて実感しました。
仕事より大切とか、仕事より大切じゃないとかって、あまり考えません。
サンフラワー号の船長、釧路日赤病院の小児科医、建築家、農家、原子力発電所のエンジニア、カウンセラー、国連職員…。
ありません。
道具の一つ。
わかりません。仕事で成功するって、どういうことですか?
いま、この瞬間だったら、髪を切りに行きたい。
『ちょっとだけ』
[(作)瀧村有子、(絵)鈴木永子/福音館書店]
この絵本を初めて読んだ時、ふと、仕事をしている風景を感じました。
1972年北海道生まれ。大学院生時代に楽天株式会社の創業に参画し、取締役副社長を務める。その後、公立中学校長を務めるなど教育を軸に活動。中高大学生・社会人を対象にした「仕事の学校」を主宰。また、長野県軽井沢町で「森のようちえんぴっぴ」で保育者として活動。その他、学校法人や奨学財団の理事、企業の社外取締役等も務めている。