2023.01.16
プロ野球選手として、ヤクルト8年、ロッテ3年、楽天1年の野球人生を送った川本良平さん。 「引退後は、何か新しいことをやってみたい!」と、真っ先に取り組んだのがパソコンスキルの 習得でした。野球つながりのご縁でアパグループに入社して6年目になる川本さんに、 セカンドキャリアやMOSの取得が現職にどう役立っているのかなどをお聞きしました。記事の最後に、川本さんからのメッセージ動画もあります。こちらも併せてご覧ください。
ゲスト
アパグループ株式会社
専務室 法人営業チームリーダー / ホテル事業本部 ゴルフ事業室長
川本良平さん
インタビュアー
株式会社オデッセイコミュニケーションズ
中西貴章
2017年3月1日にアパグループ株式会社(法人営業部)に入社し、現在は「専務室法人営業」と「ホテル事業本部ゴルフ事業」の2つの部門を担当しています。「専務室法人営業」ではホテルの宿泊営業をはじめ、広告営業や当社オリジナルの『アパ社長カレー』の販売、さらには土地情報やテナントの集客案件など。「ホテル事業本部ゴルフ事業」は、栃木と新潟にあるゴルフ場の支配人や社員と連携をとりながら、新規・リピーター顧客獲得に取り組んでいます。実際、月に1度は栃木のゴルフ場に出向き、コース改善の現地調査も行っています。
自分ができることは何でも対応していますが、やはり宿泊依頼が多いですね。なかには、「この日、個人的に利用したい」と、営業先のご担当者様から直接ご連絡いただくケースもあります。直接指名で私に話を通してくれるのはとてもありがたいこと。お役に立てることであれば、可能な限り対応してお返ししています。
はい、そうです。私は広島県呉市出身で、広島東洋カープのファン。小学生のとき、野村謙二郎さんのプレーをテレビで見て、純粋に格好いいなと。呉市にいた頃は球場になかなか行けず、当時はテレビ中継も多くなかったので、父と一緒にラジオの実況中継に耳を傾ける日々でした。
中学生になって広島市内に引っ越してからは、カープのファンクラブに入り、ほぼ全試合を広島市民球場で観戦しました。ファンクラブに入ると、7試合を見に行くと好きな選手の写真付きサインがもらえる特典があり、当時もらった野村さんの写真付きサインは、いまでも家に飾ってあります。私がプロ野球に入ったとき、野村さんはまだ現役で、お会いした際「子供の頃から大ファンです」とご本人に伝えることができ、感慨深かったですね。また、取り壊す前の広島市民球場、思い出のつまった地元球場で、1本だけですがホームランを打ったことも心に残る1シーンです。
観戦のみならず、自分自身も野球を始め、最初から「やるからにはプロになりたい」という思いをずーっと抱いていました。小学生高学年、中学生にもなると現実が見えてきて、「プロになるなんて無理」と諦めてしまう人も少なくありません。しかし、私は「自分は絶対にプロになる! なれる! そこに向かってやるだけ!」という気持ちが一度もブレませんでした。とはいえ、思い通りにいかなければ嫌にもなるし、落ち込むもの。子供心に「やめたい」と思ったことは、何度もありましたよ。本当に、もう失敗ばっかりですから。もちろん、両親の支えや周囲の方のサポートに恵まれていましたが、一心に続けられた理由は、根本に「野球が好きだ」という強い思いがあったからだと思っています。
現役引退後は何か新しいことやろうと考えていました。独立リーグからのお誘いもありましたが、プロ野球12球団へのこだわりがあって。中途半端な気持ちで野球の世界に残るより、何か新しいことをやってみることに興味がありました。
アパグループに入社したきっかけは、野球つながりのご縁なんです。引退後の2017年1月に、親しくしているロッテ角中勝也選手の激励会があり、私がサプライズゲストとして招待されました。そこに、たまたまアパグループの元谷拓専務が参加されていて、少しだけご挨拶させていただきました。すると、後日連絡があってお伺いしたところ、「当社で働きませんか」というお話をいただきました。基本、企業の中途採用は即戦力を求めますよね。それまで野球一筋の私に声をかけてくれたのは何かの縁というか、ありがたいお話なので、飛び込んでみようと思って入社を決めました。
入社後、アパホテルの元谷芙美子社長から「アパが元プロ野球選手を雇うのは初めて。セカンドキャリアのパイオニアになりなさい」と言われました。私が活躍することによって「元プロ野球選手に声をかけてみよう」と考える企業が増えれば、セカンドキャリアの選択肢が増えますから。この道筋は野球界にとっても意義があると感じています。
入社当時は名刺交換すると「あれ? もしかしてプロ野球選手の?」と聞かれることは多かったですね。そのとき、初めてプロ野球選手というキャリアは武器になるなと思いました。それがきっかけで、親しみをもって接してくださる方は多いです。野球好きの経営者の方も多く、当社で神宮球場の指定席10数名分を手配して、私の解説付きで野球好き経営者の方々と試合観戦するといったこともしています(笑)。
キャリアの話からはちょっと脱線しますが、いま、当社ホテルに置いてあるヘアドライヤーはアパオリジナルですが、その開発には私が携わりました。プロ野球選手時代、遠征には必ず風量の強いマイドライヤーを持ち歩いていて、ホテル備え付けのドライヤーは風量の弱いものが多かったので……。そんな自分の体験を踏まえ、風量を強くし、そのほかの点も改良を積み重ね製品化。開発会社との調整や交渉、コストコントロールなど、勉強に続く勉強で、非常に良い経験をさせてもらいました。
引退後、すぐに近所のパソコンスクールに通って学びました。「まったく違う世界で新しいことをしたい」といっても、ずっと野球一筋。何をするにしても欠かせないパソコンスキルの必要性が、真っ先に思い浮かびました。パソコンはネット検索で使うくらいで、Office製品のWord、PowerPointは一切触ったことがなく、Excelなんてとんでもない!(笑)
入校前の事前説明でMOSという資格試験があることを知り、「どうせやるなら取得しよう」と考え、約1カ月間、朝9時から18時までのフルタイムで、昼食以外はずーっとパソコンを勉強しました。本当にゼロからのスタート。パソコンの立ち上げ方から「Windowsとは」といった初歩の知識へと進み、少し慣れた頃からExcelのいろいろな機能や使い方を習いました。[オートSUM]や[COUNTIF関数]を知ったときは「なんて便利なんだ」と、ものすごい衝撃!専務とはじめてお会いした前述した角中選手の激励会時点では、MOS(Excel)資格は取得していましたね。
入社後、事前にMOSをとっておいて良かったと感じるケースは多々ありました。入社2日目に上司と営業同行したのですが、その後「テレビショッピングに提案する『アパ社長カレー』の資料をまとめておいて」と、さらっと仕事を振られまして(笑)。いきなりそんなことを言われてもサッとはできないので、周囲の社員の方に聞きながら進めつつ、ExcelなどOffice製品の操作はパソコンスクールで学んだことを活かしてなんとかやり切りました。
入社6年目になりましたが、WordとExcelを使わない日はないですよ。PowerPointも資料づくりには日常的に使っていますし、この取材の直前までExcelで資料を作成していました。ものすごく高度な使い方をしているわけではありませんが(笑)。
セカンドキャリアで必要となるスキルは人それぞれ。私はパソコンスキルを身につけようと、スクールに通いました。パソコンが不得手だと、この「パソコンスキルを身につけるため、教室に行く」という、最初の入口すら躊躇する人は少なくないと思います。やることもよくわからないし、不安になりますからね。
ただ、頭のなかであれこれ考えるより、まず行動してみると意識が変わってくると思いますよ。最初は言われた通りマネするだけでいいんです。体験すれば、「なんだ、こういうことか。思っていたより難しくないな」って。考えるより、まず飛び込んで手を動かす。これだと思います。
「野球やスポーツでない、まったく違う世界を見てみたい」というセカンドキャリアに向けて身につけたパソコンスキル。会社員という第二の人生で欠かせないスキルとして、日々の業務にフル活用していることをお聞きできました。お忙しいなか、貴重なお話をありがとうございました。
(インタビュー:2022年11月)