WebサービスやiPhoneアプリの開発をおこなう「つくる社」という会社を自分でやっていますが、就職して最初に入ったのは国際電話会社でした。
国際回線と交換機を保守する部署に配属された新人の頃には、夜勤もある輪番勤務でした。交代でシフトに入るのですが、「雨男」のように、なぜかその人のシフトの時には決まって海底ケーブルが切れたり、あるいは自然災害による大規模な障害が発生するという人がいて、私もそのうちの1人でした。何ごとも起こらなければ定時で終わるはずが、障害対応で気がつけば24時間以上勤務といったこともありました。しかし、新人ゆえに自分が少しでも会社の役に立っていると思える喜びがあったのでしょう。大変ではあったのですが楽しくもありました。ついには、自分がシフトの時に障害が発生すると、「よしきた!これでまた一歩成長できる」と思うほどになりました。中学生の頃にはまったゲーム、『ドラゴンクエスト』でモンスターを倒すと経験値がもらえますが、あれと似たような感覚で、「この障害を乗り越えれば経験値が貯まり、僕のレベルがアップするぞ」と思い込んでいたのです。
職場では、障害対応に限らず、いろいろなことに顔をつっこんでは頼まれた仕事を引き受けるようにしました。成長できる喜びとともに、問題を解決した時に感謝されることもまた嬉しくて、それを続けていくうちに、何か問題があった時に解決できる引き出しが自分のなかで増えていき、それを周りも認めてくれて、仕事を頼まれることが多くなっていきました。
これは転職した先でも、その後アメリカで働いていた時も、そして今独立しても、「そうだなぁ・・・」と思っています。いろいろな問題を解決できる人のところに仕事はどんどん集まってきて、そしてそれを一つひとつクリアしていくことで、経験値が上がり、また仕事を頼まれるようになるのです。
私にとって仕事とは、誰かが困っている問題を解決すること。そして、それを乗り越えた時に自分がレベルアップする喜びと、人からも感謝される喜びを同時に受け取ることができます。困難な仕事と向き合った時は、「こいつを倒した時の経験値は大きいぞ」と思い込むことで、辛いという気持ちは薄れ楽しく取り組めるようになります。
天職だと思っています。
儲けを考えなくてよいWebサービスやアプリをたくさんつくる。
開発したサービスやアプリに対して、「便利です、愛用していますよ」とユーザーから言われる時。
家族。正しいことをすること。嘘をつかないこと。
息子たちに、「いま何をつくっているの?」と聞かれたときに、誇りを持って答えられるサービス・プロダクトをつくっていきたいと思います。
郵便局員、学校の先生
自習できる能力、問題を解決できる能力。
繰り返しの仕事を文句なく正確にこなしてくれたり、大量の情報を収集、分析できる優秀なエージェント。
何が問題となっているかを分析し、その問題をあらゆる手段を使って解決すること。
あたためているWebサービスやアプリのアイデアがたくさんあるので、そのうちのひとつに着手する。
『Getting Real』 [Jason Fried著 / 37signals]
Webアプリに限らず、プロダクトやサービスをつくることに関わるすべての人に役立つと思います。最近ということではなく、読んだとき以来の自分にとってのバイブルです。
1995年 東京大学工学部機械情報工学科卒業。 1998年までiDC国際デジタル通信株式会社に務めた後、ジェネシス・ジャパン株式会社に転職。 2000年に転籍となり、4年間 Genesys Telecommunications Laboratories Inc.(アメリカ、サンフランシスコ)にてソフトウェアの国際化エンジニアを務め、帰国後はウノウ株式会社に入社。
その後、フリーランスの活動を開始。 2010年6月、つくる社を設立。 現在は、Web アプリや iPhone アプリなどを開発、小中学生にプログラミングを教える「CoderDojo Tokyo」という活動も続けている。
◎「スマホを持って謎解きに出かけよう!」がコンセプトの、スマートフォン向けフィールドゲーム
「まちクエスト」を運営しています。