東海道・山陽を新幹線で移動してみると、ひと続きの車窓の風景からさまざまな気づきがある。その地域ごとの地形の特徴、どういう場所にどんな住宅があるだとか、工場や田園の風景から人々の暮らし方はどうなっているんだろうとか、どんな産業が盛んみたいだとか、はるか昔に社会科の授業で習った知識を探りながら、今自分が見ている風景に潜むストーリーを想像する。新幹線の車窓は、それぞれの都市を結ぶ線の視点を与えてくれる。
今から約3年前、僕は相方の村上と共に、「ツクルバ」という会社を共同創業した。「場をつくる」を事業とするので、会社名は「ツクルバ」。いつだってネーミングは大切だと思う。それは、後々まで残る一番小さな宣言文になるはずだから。
もともと大学・大学院で建築デザインを学んでいた僕は、建築の前段階、つまりプロジェクトが立ち上がるフェーズに興味を持って、不動産ディベロッパーに就職した。しかし、土地を仕込み、その上にマンション等を建て、そして売る、という不動産開発は、その全体に少なくとも数年がかかり、今の時代のスピードのなかでは結構なギャンブルに見えた。GoogleもFacebookも、わずかここ10年くらいの出来事なのだ。数年後の未来に向けた小回りの効かない不動産開発とITはとても対比的だと思う。そして、建物が出来上がるまでよりも、出来上がっているものをいかに活用するかに関わりたい、と考えるようになった。
その後、ミュージアムデザイン会社に転職し、建築ができた後をいかにデザインしていくかを学び、独立。その時々での課題意識によって経験してきたキャリアは、いつの間にか企画・設計・運営をシームレスにデザインするスキルを僕に与えてくれていた。
各々が専門性を高め、分業によって効率化を図ること。その効果を否定はできないが、弱点も潜んでいると思っている。例えば、それぞれの専門家同士のバトンパスがうまくいかなかったとき、どんなに素晴らしい専門性が発揮されようとも、最終的に統合されたアウトプットとしては結実しないことが多い。それぞれの点をつなぐ線の視点が、そこには必要なのだと思う。
まさに、ツクルバはその視点を持ってアクションをしていくチームである。不動産の企画から、空間デザイン、そして、施設の運営まで、一貫した視点を持ちながら「場」をつくる。それが僕らツクルバのスタイルなのだ。
もちろん好きです。どこからが仕事で、どこからが遊びなのか、境目がありません。
今のツクルバの活動と同じようなことを、より大きなスケールでやると思います。
一人だけでは実現し得なかったものが、さまざまな人の力で世の中に立ち現れていくとき。
コミュニケーションの時間。
家族はもちろん、いろいろな人と話すことでのインプットが、結局仕事にもつながります。
CGクリエイター、NASAの研究者、考古学者、哲学者など、いろいろでした。
現状に疑問を持ち、自分の頭で考えること。
手に馴染んだ筆記具のようなものです。
自分自身がまず目の前のことに熱狂すること。
オフラインの環境のなかで考えごとをしたいです
『走ることについて語るときに僕の語ること』 [村上春樹 著 /文春文庫]
ランナーとしての村上春樹、
そして、走ることを通じて語られる彼の人生観が散りばめられた一冊。
1984年生まれ。東京工業大学大学院 建築学専攻修了。不動産ディベロッパー、展示デザイン業界を経て、2011年8月に株式会社ツクルバを共同創業。シェアードワークプレイス「co-ba」をはじめ、さまざまな場づくりの企画・設計・運営を横断した総合的なプロデュースを手がける。これまでになかった「場の発明」を通じた、ソーシャル・キャピタルの構築を目指して活動している。