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リレーエッセイ Vol.118 永谷 研一さん:目の前の仕事の質を高め続ける

最近、キャリアとか働く意義といった内容の講演会がよくありますが、私はピンと来ていません。
そんなものを考える必要、狙っていく必要はないからです。先を考えすぎて一歩も前に進んでいる気がしないという人は、キャリア論にダマされているにすぎません。「働くことは生きること」なのですから、その是々非々を議論してもしょうがないのです。

人は誰でも「役に立ちたい」と思っているものです。そこまでいかなくても、「大事な人と思われたい」と願っているものです。本人が意識しているかどうかは別として、「私は価値がある人間だ」と思いたいのは当然です。でも、それを破壊することはよく起きます。一生懸命仕事をすると、

「見下されたり」
「理不尽に扱われたり」
「難題を押し付けられたり」

するものです。それによって、「私は何て“イケてない”のだ」と自己否定、自己嫌悪に陥る人もいるかもしれません。
ハッキリ言いましょう。その思考はまったくムダです。必要ないのです。自分で自分をダメだと思うことで、誰が得をするのでしょうか。でも、そんな思考に陥ってしまう人が多いのも現実です。では、そんな思考に陥らない方法とは何か。 それは、「目の前の仕事の成果を高めることに集中する」ことです。

自分の性格とか相手との関係とか失敗とか、そんなものは置いておいて、まずは、その仕事がどんな成果を生み出したか、と考えるのです。すると、どんどん視野が広がってきて、仕事の質を高め続けようという行動が導き出されるものです。そして、目の前の仕事の質を高め続けようと行動していると、その行動自体に「自分らしさ」が付加されていきます。すると、周りに「感謝されたり」「あなたらしいね」と褒められたりします。どんどん自信が湧いてきます。その結果、単純な(興味もあまりない)仕事と思えた“目の前の仕事”自体が、輝いたものに見えはじめます。それを続けていくと、使命感が芽生えます。

それが天命・天職というものです。
天職を見つけることは、自分が生まれてきた理由を見つけることに他なりません。でもそれは、目の前の仕事のなかに眠っているのです。どこか外にあるものではないのです。

私の著書『絶対に達成する技術』(KADOKAWA)のあとがきに書いてある文章を引用して、このコラムの締めとします。
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「あるところに、人のために何かをして喜ばれることが大好きな子どもがいました。彼は大人になりウェイターの仕事に就きました。最初は自分の仕事を、単なる“注文を取って料理を運ぶ係”と考えていましたが、仕事を一生懸命やっていくにつれ、“お客さまに喜んでもらうためのサービス係”ということに気づきます。
そして最後には、“お客さまの大切な時間を演出する影のプロデューサー”であるところまで仕事の質が高まります。これは子どもの頃の夢が叶う瞬間でもあります。そのとき、「ああ、自分の使命はこれだったんだな」と気づき、ウェイターという仕事に誇りを感じるのです。」
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仕事にまつわる10問アンケート

  1. 今の仕事が好きですか?

    はい

  2. 一生困らないほどのお金が手に入ったら、仕事以外にやりたいことは?

    私立学校(塾)経営

  3. 仕事で、“鳥肌が立つほど感動した”ことがありますか?

    自分で考案した教育ITシステムが日米で特許を取った瞬間

  4. 仕事より大切なものは?

    家族との時間

  5. 子供の頃になりたかった職業は?

    発明家

  6. あなたの子供に仕事のためにどのようなことを身につけさせたいですか?
    (※子供をお持ちでない方は、いると仮定してお答え願います)

    時間を守ること

  7. あなたの仕事にとってコンピュータとは?

    道具

  8. 仕事で成功するために、もっとも大切なことは?

    お客さまとの信頼

  9. 今、1時間だけ自由な時間があったら、何をしたいですか?

    教育ついてのディスカッション

  10. 最近読んだ本で、仕事に役立ったのは?

    『絶対に達成する技術』[ 永谷 研一 著/ KADOKAWA ]

【2014年9月インタビュー】

発明家 / 株式会社ネットマン 代表取締役社長
永谷 研一(ながや・けんいち)

【Profile】

NPO法人 人材育成マネジメント研究会 理事長
1966年静岡県生まれ。人材育成系ITシステムで日・米で特許取得し、米国O-1ビザ(卓越能力保持者ビザ)取得。心理学や行動科学の知見をベースに日立グループ、三菱東京UFJ銀行、楽天といった企業の人材育成で「目標達成のための行動習慣化プログラム」を提供する。大学や高校、中学校においてキャリア教育も実践。ケータイ活用教育のパイオニア。タブレットをすべての小学生に配布した佐賀県武雄市においてICT利活用教育推進アドバイザーも務める。著書に、『絶対に達成する技術』(KADOKAWA)がある。

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