小学生の頃、家にあったワープロと電話線をつなぐと、エリア限定のチャットができることにとても感動し、「通信」に興味を持ちました。回線でつながった“向こう側”には、無限の世界が広がっていて、数多くの人とコミュニケーションできることに、FMラジオすら入らなかった環境に暮らす私は驚愕したことを覚えています。
大学時代には友人たちと授業情報サイトを作成し、顔も知らない学生たちが「便利だよ」と勧めあってそのサイトを使ってくれていました。この時点でITに興味はありましたが、一緒にやっていた友人が天才肌で、“自分はきっと三流にしかなれないだろう”と思い、違う業界での就職活動を行いました。テレビ業界やコンサル業界などを見て回りましたが、日経BPから内定をいただき、まったく未知の領域だった出版業界に身を投じることにしました。
転機は、日経BPで3年半記者として勤めた頃に、友人からITベンチャーに誘ってもらったことです。ここで、一通りプログラムの基礎を学び、その後、縁あって同じくITベンチャーのユーザーローカルの立ち上げに参加。ここではエンジニアとしてB to Bのシステム開発に携わりました。そして、2011年頃から個人で一般ユーザー向けのアプリ開発もはじめました。それは、大学時代の体験もあり、個人向けのサービスを作りたい気持ちがあったからです。
個人で開発した家計簿アプリ『Zaim(ザイム)』は、誰にとっても身近な「お金」をテーマに、どんな人でも使えるシンプルでわかりやすいものを目指して作っています。当初、起業するつもりはなかったのですが、ユーザー数が相当量増えたことから、個人情報をきちんと法人格で扱い、ユーザーさんが安心して使えるようにと考え、2012年9月に会社化。現在は250万人の方にご利用いただき、撮影したレシートの自動入力などの便利で簡単な機能により、家計簿に挫折した人も続けられるという声を多くの方から寄せていただいています。
開発者としてこだわっているのは、「お金をマネージする」という概念を提供すること。収入ベースではなく、予算ベースの入力にしていることもそうですが、お金を上手に管理して予算内で収まったら、残ったお金は欲しかったモノや行きたかった場所に使うなど、その人の“生活の満足度”に貢献できるツールでありたいというのがベースになっています。
私にとっての仕事とは、生活の一部。人生の座右の銘である、「わが人生に一片の悔いなし」を胸に、あの時こうすれば良かったと、後悔することなく今に向き合っていきたい。そしてこれからも、より多くの人に「生活が変わった!」「このサービスがあったから良い選択ができた」と喜んでもらえるようなサービスを創り続けていきたいと思っています。
はい。
お金というより時間がありません。時間があったら、農業のオンライン化(温度や湿度の管理等、観測のデータ化)をしてみたいです。
数カ月前、電車で目の前にいた人が『Zaim』をスマホのホーム画面に入れているのを見た時。
家族。
職業として何かになりたいと言っていたのは記憶にありませんが、面白い経験をたくさんしたいと思っていました。
自立する力。特別なことを教えるのではなく、親が、一生懸命に何かに打ち込む姿を見せるのが良い影響を与えると考えています。
自分自身の一部。
“私は仕事で成功している”と自己評価していれば成功になると思います。
マンガを読みたいです。
『失敗の本質 -日本軍の組織論的研究 』 [ 戸部良一、寺本義也、鎌田伸一、杉之尾孝生、村井友秀、野中郁次郎 著/中央公論社 ]
高校の時に初めて読みましたが、社会に出てからも組織論として参考になることが詰まっています。
1979 年神奈川県生まれ。慶應義塾大学 環境情報学部卒業後、日経 BP 社で記者・編集に携わる。Web 系ベンチャーのケイビーエムジェイにてブログや SNS などの自社パッケージの企画・開発を手がけた後、2008 年にITベンチャー企業のユーザーローカルに、一人目の社員として入社。新規 Web アクセス解析ツールの開発・企画・UI ・デザインなど全般を担当。2011年に、PC・スマートフォンでお金の管理ができる家計簿アプリ『Zaim』を個人サービスとしてスタートし、2012年9月に会社化して起業。
『Zaim』は、TwitterやFacebookとの連動性やその他のユーザーと支出比較できるソーシャル機能など、革新的な使いやすさによって多数のユーザーに支持されている。約 1,500 の銀行やクレジットカードの入出金の自動取得・分類(無料)、世界各国の155貨幣通貨への対応等々、ほぼ毎週、機能をアップデートして使いやすさを追求し続けている。
『家計簿 Zaim』は、Teclosion KDDI 賞 / 優秀賞・WISH 大賞・オリジナリティ賞 / グッドデザイン賞 ベスト 100 などを受賞。