No.142
株式会社フロントステージ
代表取締役社長
千田 絵美さん
物心ついた時から両親とも共働きで、私は看護師としてガシガシ働く母をかっこいいと思っていた。我が家のカレンダーには「朝から夕方まで仕事の日」はA、「昼までに帰ってくる日」はB、「夜勤がある日」はC、などといった意味のアルファベットが並んでいた。夜に母がいないCの日は何となく嫌いだったし、早く帰ってくるBの日は嬉しかった。
小学6年の頃、母が単身赴任となり、そばに母がいない寂しさのあまり、「私が子どもを産んでお母さんになったら、絶対にママみたいな働き方しない!」と、母に言ったこともある。いま思えば、本当にひどいことを言ったと思う。当時の母の気持ちを考えると苦しい。働く母にそんな悪態をついたにもかかわらず、不思議なことに私自身は、「結婚・出産してもずっと仕事を続けるんだろうな」と、子供の頃から嫌々でなく当たり前のこととして思っていた。そして、小さい頃からなりたかった教師になるものの、就いてから方向性が違ったことを認識。その後、紆余曲折を経て「広報」という仕事にたどりついた(紆余曲折の詳細は、ブログをご覧ください)。
いま36歳の私が、20代後半の頃に母に言われてよく覚えていることがある。それは、「えみちゃんも、早く管理職になったほうがいいよ」というような内容だった。それを聞いて私は、「そうだね!私も早く管理職になりたい」と答えた気がする。しかし、その回答は嘘だった。正直、“管理職になるなんて面倒くさそう・・・”と思っていた。それでも、母を尊敬していた私は、母が言うのだからきっと「管理職」というものになったほうがよいのだろうなと思い、そう答えた。
前置きが長くなったが、私にとっての「仕事観」は、物の見事に母の影響が色濃く出ていた。母に褒められることをやりたい。母が「違う」と言ったことはなるべく選びたくない。母に「すごいね!」と言われることを選びたい。恥ずかしながら、ほんの数年前までそれを無意識にやっていた気がする。「自分の価値観」で選んでいると思い込んでいたことも、実は違ったのである。
そしていま、ようやく仕事のうえでも、「私は、これが好き」「私は、こうしたい」と、本当の意味での「自分の価値観」でセレクトすることを意識できるようになった。誰でも、多少の差はあるにせよ、無意識に親の価値観がインプリンティング(刷り込み)されていると思う。しかし、それに気づいて、ほかの誰の価値観でもなく、自分が「楽しい」「心地良い」「ワクワクする」という価値観で選んだ物事の積み重ねによって、誰かの役に立てて、誰かのハッピーのきっかけになれること。それが私にとっての「仕事」であり、これからも、そこさえ忘れなければ、自分も周りもハッピーになれる仕事ができると信じている。
株式会社フロントステージ
代表取締役社長
千田 絵美(せんだ・えみ)さん
1980年生まれ。山口県(岩国市)出身。大学卒業後、小学校教師、広告営業を経て上京。2006年に「出前館」(ピザ・寿司などの宅配総合サイト)を運営する夢の街創造委員会(株)に広報・社長秘書担当として入社。2008年、化粧品会社の(株)ドクターシーラボに広報担当として入社。2010年、第1子となる娘を出産後、1年間の育休を経て職場復帰。2013年、「STORES.jp」(無料でネットストアを作れるサービス)を運営する(株)ブラケットにPRマネージャーとして入社。2016年9月、「PRを使って表舞台に立つ女性を増やしたい」という想いから(株)フロントステージを設立し、代表取締役に就任。
プライベートでは、働くママのロールモデルをシェアするコミュニティサイト「パワーママプロジェクト」を運営。
【2016年9月インタビュー】
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