No.144
株式会社キッズカラー
代表取締役CEO/保育士
雨宮 みなみさん
中学生の頃、保育園で一日体験を行ったのがきっかけで「保育士になる!」と心に決めました。そして、実際に6年間保育士として働いた後に、キッズカラーを立ち上げました。現場を離れてまで起業したのは、保育士として働くなかで感じていた課題をどうにかしたいと考えてのことでした。
保育園の先生たちは、子どもの命を預かる緊張感のなか、たくさんのやるべきことに日々追われ、保育士の数もまったく足りていないのが現状です。人生の基盤ともいえる重要な時期を生きる子どもたちと長時間を共に過ごす、とても責任ある仕事なのに、そんなギリギリの毎日のなかで先生たちは頑張っています。また、私が経験した保育の世界は学びの時間が乏しく、十分なインプットをすることがなかなか適わない状況でした。新米保育士だった頃は、自分のクラスとベテラン先生のクラスとでは子どもたちの得られるものが違うのではないか、今の自分には何ができるかと、よく考えさせられました。そんな心の声に知恵や手を差し伸べてくれるものが欲しかった。その「欲しかった」を詰め込んで、エンジニアの夫と自分の経験をすり合わせて作ったのが、遊びのタネを写真と一緒に閲覧できるWebサイト『HoiClue♪(ほいくる)』です。また、全国で働く保育士さんたちの頭にある素敵な遊びのタネをみんなで共有し、より豊かなものに育てていきたいという想いから、保育者自身が遊びを投稿できる『ほいくるアプリ』も開発して運営しています。
立上げから6年が経過した今、『HoiClue♪』には約4,000件の遊びの記事を掲載していて、保育士さん(約42万人)の約6割が利用するサイトに育ちました。また、アプリのほうは、少しの空き時間でも、スマホですぐに遊びのタネを見つけられるように構成。こうした機会を通じて、子どもたちが遊んでいる姿を思い浮かべて、ついにっこりしてしまうようなサービスを提供することで、子どもに寄り添う保育環境を応援し続けていきたいと思っています。
子どもが持つイマジネーションや新しいモノやコトを生み出す力には、本当に圧倒されるし刺激を受けます。当社では、自分たちのサービスが“大人目線”に寄らないよう、月に2、3回子どもたちを招いていろいろなテーマでイベントを開催していますが、驚きや気づきも多く、 “子どもの世界”に直接触れることで新たに学ぶ点が多々あります。それを、慌ただしく余裕をなくしがちな大人と共有することで、大人が子どもの頃を思い出して、子どもに寄り添うきっかけにしてもらえればなぁと。
私にとって働くこととは、可能性を切り拓いて新しい価値を創っていくこと。キッズカラーが目標としている「遊びのプラットホーム」を一つのきっかけに、遊びのタネを蒔いていくことで、これからの時代をつくっていく子どもたちの“育つ力”を高めていけるような、子どもに失礼のない社会づくりにつなげていきたいです。
『ピクサー流 創造するちから』[エド・キャットムル 著、 エイミー・ワラス 著 他/ ダイヤモンド社]
クリエイティビティを発揮するためのポイントやチームでの働き方などのヒントが詰まっています。
株式会社キッズカラー
代表取締役CEO/保育士
雨宮 みなみ(あめみや・みなみ)さん
1986年生まれ。神奈川出身。中学時代から保育士を目指し、2006年に和泉短期大児童福祉学科卒。20歳から6年間、保育士として勤務。保育士の経験を積み重ねていくなか、保育現場における課題に着目。子どもの“イマ”を虹色に。という思いのもと、2010年に子育て支援事業を行う「こども法人キッズカラー」を設立。子どもと大人が一緒に楽しめる遊びのタネを掲載する「ほいくるWeb」や、子どもと楽しんだ遊びを投稿して共有する「ほいくるアプリ」などを展開。
保育士資格のほかに、幼稚園教諭二種免許、社会福祉主事任用資格を所持。一児の母。
【2016年11月インタビュー】
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