No.154
株式会社シロップ
代表取締役
大久保 泰介さん
大学3年から3年間、サッカーをするためにヨーロッパに留学していましたが、当時は、自分が起業するなんて思ってもいませんでした。2011年に、留学先のロンドンで海外展開する前のグリーのプレゼンテーションを聞く機会があり、「日本からGoogleをつくる」というミッションに共感し、“ここで働くと面白そうだ”と思い入社しました。
入ってみたら、独立して起業する先輩も多く、徐々に「起業」という生き方に魅せられていきました。また、社内では新規事業のコンペにも応募できたので、私も数々のアイデアを出しました。そのなかで、ペットビジネスのプランに評価をいただいたのですが事業化には至らなかった。そこで、先輩からの勧めもあり自分で起業することを決めました。
ペット業界に着目したのは、ペットにまつわる日本とヨーロッパの社会環境の違いに問題意識をもったからです。
イギリスには、厳しい認可基準があるためペットショップはほとんどなく、ブリーダーから買うか保護犬・猫の引き取りが主流で、どちらの場合も飼う前には家族の同意や各種の手順が必要です。日本では、お店で見て気にいれば衝動買いのようにその場で購入して持ち帰れるので、結果的に扱いに困って捨ててしまうケースも多い。加えて日本の保護犬・猫の問題は、ペットショップがオークションでブリーダーの犬や猫を競り落とす制度と深く関わっています。ブリーダーは、見た目の良さや希少な毛色などをもつ市場価値の高い犬や猫を扱うため大量繁殖させる。そこからふるい落とされて、高値で売れない子犬・子猫は競られずに廃棄されてしまうこともあり、多数の保護犬・猫を生んでいる現状があります。
ペットを取り巻くこうした環境を変えたい、知ってもらう場を作りたい、という想いではじめたのがシロップです。
当社では、保護犬・猫と飼いたい人をつなぐマッチングサービス「OMUSUBI(お結び)」と、獣医などの動物に関わる専門家が執筆するWebメディア「ペトこと」を運営しています。「OMUSUBI」では、ペットを飼いたい人と保護団体に登録してもらって、犬や猫のことをきちんと考えて飼い、保護犬・猫から飼いはじめることが普通になる社会を目指しています。「ペトこと」では、信頼性の高い情報提供を通じて、ペットが健康で長生きできる社会を目指しています。
今秋からは、犬用サプリメントの物販を皮切りに、ペットの健康管理を総合的に支援する事業にも取り組みます。犬種や猫種別でなく個体ごとの健康状態に最適なフードやサプリメントの開発、臨床からのリアルデータを蓄積していくための動物病院の開業、その病院とドッグランとオフィスが一体化された複合施設など…、夢は膨らんでいます。
私にとって仕事とは生活の一部。人生は人とのつながりが形づくっていくものであり、働くことで人生も豊かになっていくものだと思っています。ペット業界に身を投じたからには、「人とペットが共に生きる、より良い社会を実現」するため、人とのつながりを大切にしながらとことんやってみたいと思います。
『人生の意味の心理学(上・下)』[ アルフレッド・アドラー著 / アルテ ]
現在、心理学を勉強中なので、アドラーはよく読んでいます。
株式会社シロップ
代表取締役社長
大久保 泰介(おおくぼ・たいすけ)さん
1987年、京都生まれ。2012年に同志社大学(経済学部)卒業。在学中は、英・ロンドンでサッカーをする傍ら、ユニクロUKで「+Jプロジェクト」等のプロモーション業務にも携わる。帰国後、大手ソーシャルゲーム企業(グリー株式会社)に入社し、グローバル・新卒採用プロモーション、採用戦略、財務管理会計を経験。2015年3月、「人と動物とが共に生きる、より良い社会の実現」を目指して、株式会社シロップを創業。
【2017年9月インタビュー】
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