No.159
株式会社キャスター
代表取締役
中川 祥太さん
私にとって働くことは、「役割」を全うすること。自分にできることがあって、誰かがそれを求め、応えた結果として対価が得られる。それは、自分にしかできない役をつとめることであり、いま、自分が経営者として在るのも、自分にぴったりの役割を課せられたのだと思っています。
私が最初に興した事業は「古着屋」でした。スペースが大きかったので、半分はシルバーアクセサリーを扱う店に貸していましたが、ネット通販もやっていたその店では、1つ100万円ぐらいの商品がどんどん売れていきました。私のほうは3,000円ほどのTシャツを毎日懸命に売っていたので、ネットでそのような金額が動いていくことに驚愕し、“ネット市場に関わっていきたい“という気持ちが芽生えました。そこで、知人の紹介を経てネット広告会社に勤めたのですが、約1年後には妻の出産を機に自分の故郷の大阪へ戻ることに。そして、インターネットの監視業務アウトソーシングサービスを運営するイー・ガーディアン社に転職。業務でクラウドソーシングを利用するなかで、ワーカーの就労条件が悪く、環境が整っていないことを知り、この分野で何かもっとできることがあると考えるようになりました。
第一次ベンチャーバブルに湧く2014年、ベンチャーキャピタルから出資の申し出があり、同年9月に株式会社キャスターを起業。主となるサービスの、秘書・経理・人事・Web運用などの事務作業をリモートワークで請け負う「CasterBiz(キャスタービズ)」は非常に反響があり、2018年2月現在、上場企業からスタートアップに至る約300社の企業にご利用いただいています。また、アシスト希望のワーカーも月間1,000名を超える登録応募があり、地方や海外在住の方の応募が約70%を占めています。というのも、地方では事務職の平均賃金は東京の50%ダウンと言われ、就労先の数も少なく、キャリアアップを望めない状況のところも多い。現在、「CasterBiz(キャスタービズ)」で働く約300名の多くがフルタイム社員で、月給も平均21~23万円は保障しています。通勤する必要はなく、実力のある優秀な人材なら正当な報酬が継続的に支払われる。これまで選択肢のなかった人たちに、より良い条件で働いてもらえる機会を創れたことが何よりだと思っています。
当社で働く全社員がリモートワークで就労していて、おそらく日本で唯一、世界でも最大級のリモートワーク企業だと思います。私自身、長崎に住んでいる最古参の社員に直接会ったことは一度もありませんが、仕事は何一つ支障なく回っています。
ここから先10年くらいで、日本のリモートワークは世界を先行していくはずです。人口減少により、経済成長の鈍化を補うための労働生産性の向上が急務となるなか、コスト削減や労働力の分散が必須になってくることもあり、多様な働き方は国も方針として打ち出しています。いまはまだ、「リモートワークだけでは問題があるのでは?」という刷りこみが、“新しい働き方”の浸透を阻んでいるように感じています。だからこそ、当社をリモートワーク企業の成功例として規模も含めてもっと大きくして、きちんと稼げるビジネスモデルであることを知ってもらうことが目標です。
株式会社キャスター
代表取締役
中川 祥太(なかがわ しょうた)さん
1986年大阪府生まれ。日本大学経済学部中退。20歳の時に古着屋(東京/下北沢)を開業。その後、2010年にネット広告代理店に入社、2012年の退職後は大阪へUターンして、インターネットの投稿監視などを事業とするイー・ガーディアン社に入社。大阪支社の立ち上げを経て、主にソーシャルメディア関連の事業を担当。ソーシャルリスクの専門家として、各種テレビメディアへの出演、連載を持つ。並行して、新規事業を担当する事業企画部に異動となりクラウドソーシングと出会う。 クラウドソーシングの可能性および日本の市場のオンラインワーカーの発展途上な状況を見て、起業を決意。2014年9月、28歳の時に株式会社キャスター創業。
2016年8月に大和企業投資株式会社を引受先とした第三者割当増資より、総額1億円の資金調達を実施。
【2018年2月インタビュー】
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