No.165
株式会社EventHub
代表取締役
山本 理恵さん
私にとって仕事とは、「もっと世界がこうなれば良いのに」の自己表現と仮説検証です。
ちょっと不謹慎な考え方ですが(笑)、私はキャリアや人生を考えるときに、たまに死を意識します。私が好きなフレーズ “Leave this world a better place than how you found it”にもある通り、自分が生まれた世界よりも良い世界にしてこの世を去ること、そしてそれに貢献できたと実感して死ねることが幸せだと思うため、仕事も、その「よりよい世界」の自分なりの定義に沿って素直に行動するほうが幸せだと思っています。
私は幼少期をイギリスで、小学校低学年から20代後半までをアメリカで過ごし、日本に引っ越してきたのは5年前。帰国するまでは日本との接点は比較的限られたものでしたが、日米のバックグラウンドを持つ者として経験してきたことが、自分のキャリア感に大きな影響を与えていると思います。米国で私が育った地元は白人社会で、日本人の友人と話しているところを見られると、「なぜ日本人なんかとつるんでいるのか」と指摘される。進学した大学では、中国人や韓国人が学年に50人ずつ留学してくるなかで、日本人は2人しかいないという事実に危機感を覚えたり、かたや日本に来てからは、少しの差があるだけで「アメリカ人だね」とレッテルを貼られることに違和感を覚えたり。このような経験が、「国籍や出身地など関係なく協業できる社会になれば良いのに…」、という漠然とした想いにつながっている気がします。
私が創業したEventHubは、ビジネスの場であるカンファレンスや展示会で、参加者同士がビジネスマッチングできるようにお手伝いするツールです。最近は、男女の出会いでもマッチングアプリがあり、ビジネスでもビジネスSNSが増えてきていますが、それをビジネスのリアルの場であるイベントでやろう、というものです。過去に、日本のベンチャー企業の海外展開や国外企業の日本市場参入の仕事に携わっていたときに気づいたのが、新規市場参入にはカンファレンスや展示会が大きな役目を果たすということ。しかし、自分が参加した海外のイベントではビジネスマッチングサービスが提供されていたため、まったく違う地域や業界の人とも商談ができたのに比べ、日本ではそのようなツールがあまりなく、“既存の取引先との挨拶には良いけど、新規の収穫が比較的少ないな”と感じていました。この発想をきっかけに、現在日本でこのサービスを提供しています。最近は、日本国内でも海外企業を誘致するイベントが増えていますが、まさにそのようなイベントで新たな協業が生まれる仕組みになれば嬉しいです。
EventHub以外では、以前に行った日本の宇宙技術を海外へ発信する仕事や、今もやっている外国人観光客に対して日本の伝統を発信するホテルの海外マーケティングの仕事など、自分が経験してきた日本と外の世界をつなぐ仕事にはおのずと惹かれるため、国際発信のマーケターとしての活動も行っています。
あくまでこれは自分のテーマであり、もちろんテーマは人それぞれです。ただし、それが何であれ、どうせ100年生きるのであれば、世界が向かうべき仮説を持ち、それに対して自分が貢献できた、と確信しながら死ねるのが幸せではないかな、と思っています。
株式会社EventHub
代表取締役
山本 理恵(やまもと・りえ)さん
1988年英国生まれ。ブラウン大学経済学部・国際関係学部卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニー サンフランシスコ支社入社。在籍中に認定特定非営利活動法人Teach For Japanへ出向する。
2016年に株式会社EventHubを設立し、イベントのビジネスマッチングを加速するマッチングサービス「EventHub」を提供。また、過去に宇宙ベンチャーの国外マーケティング担当、現在はホテル事業の国外マーケティングを担うなど、海外に発信するマーケターとしても活動する。
【2018年8月インタビュー】
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