No.170
株式会社ユカシカド
代表取締役 CEO
美濃部 慎也さん
仲間と掲げた目標に向かって、「自分がどうあるべきか、どうありたいか」を突き詰めて考え、チームに貢献するために自分に足りない部分を努力し続けて強くなっていく−−。関西学院大学のアメフト部で培われた情熱のマネジメント力が、いまの自分を創っています。
アメフト引退後に、「起業」という道を定めた原点は、育った環境によるところが大きいと思います。宝塚界隈に住んでいたので、幼少時から阪急電鉄や宝塚歌劇団を作った小林一三氏の偉業に触れる機会も多く、この実業家の話をよく聞いていました。また、祖父が商社の経営に携わっていたこともあり、いつしか私も「自分で事業をやっていく」ということがマインド設定されていました。
事業の矛先を“栄養”にした背景にはアメフトの影響があります。米国最大のスポーツ産業であるアメフトには、勝利に必要な“戦略・運動・休養”に関する最先端の技術が注入されていて、関学はそれを取り入れています。論理的に裏打ちされた最強のメソッドでしたが、“栄養”だけは、一人ひとりの身体能力に合致したもっと精密な方法がある気がしていました。また、試合前に祈りを捧げる牧師の先生から、途上国でのフェアトレードビジネスの実体験を聞き、在学中にバナナ農園の視察に参加してスラム街にも行きました。そこで目の当たりにしたのが、劣悪な栄養環境で暮らす子供たちでした。安価で栄養価の高い食べ物は十分あるのに、糖質や脂質の多い食事を選ぶ彼らを見たとき、生きるために必要な栄養を知らないことの危険性に気づきました。この問題をビジネスの力で解決したいと考え、起業を視野に、大学卒業後はアメフトのコーチから勧められたリクルートに入社。約7年間、営業から事業運営まで希望通りのさまざまなキャリアを積ませてもらいました。
人に不可欠な栄養の大切さをビジネス化していくにあたり、まずは論文を含めた数々の栄養に関する情報収集と市場規模を調査。そうしたなかで『MDGs』(※)という世界的な活動を知り、より一層「栄養問題を解決する!」というゴールが明確になっていきました。それと並行して、病気でない健常者の栄養状態を正確に把握するプロダクト作りの準備も進め、細胞や遺伝子、栄養学の専門家を含む100を超える人たちと会って具体化の道を探っていきました。
2017年にリリースした『Vita Note』(ビタノート)は、尿を送るだけで栄養状態がわかる世界初のパーソナル栄養検査です。人には、体格や遺伝、生活習慣などによって各々異なる栄養吸収量があり、『Vita Note』はその過不足を数値で測定するので、理想的な健康状態や身体能力の向上に最適な栄養データを正しく知ることができます。また、この検査結果と連動した100%天然素材のテーラーメイドサプリメント『Vita Note FOR(ビタノートフォー)』も併せて開発。検査センターも製造工場も自前で、品質重視で提供しています。
世界の栄養課題を解決すべく、いまはその第一歩を踏みだしたに過ぎず、そのためにも会社としてサスティナブルであることが大事だと考えています。栄養の大切さを一人でも多くの人に伝えるためにやることは山積みですが、“勝つまで、徹底的にやり続けていく”という自分の強みを活かしつつ、みんなでゴールを決めていく組織を創っていくことが、いまの私にとっての仕事/働くことであり、自分を培ってきたこれまでの時間を活かす天命だと思っています。
※ MDGs:「Millennium Development Goals (ミレニアム開発目標)」の略称。
1990年代の国際開発目標と2000年に採択された国連ミレニアム宣言(貧困や教育、環境問題など、国際社会が取り組む課題)が統合された開発目標。達成期限の2015年以降は、国連加盟193カ国によって、SDGs(Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標)として、働きがいなども加えた17の国際目標が掲げられている。
株式会社ユカシカド
代表取締役 CEO
美濃部 慎也(みのべ しんや)さん
1982年 兵庫県生まれ。2006年に関西学院大学卒業。同年4月に株式会社リクルートに入社し、求人媒体の営業、商品企画を担当。2010年にオイシックス株式会社に出向し、事業戦略を担当。2012年に株式会社ごちまる(※)に出向。2013年3月の退職と同時に株式会社ユカシカドを設立。代表取締役に就任。
※リクルートとオイシックスのJV
【2019年1月インタビュー】
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