No.171
ベリテワークス株式会社
代表取締役
浅賀 桃子さん
起業前はITコンサルティング会社の人事として勤務していました。当時すでにカウンセラーの資格を持っていたこともあり、社員の退職相談を多く受けていました。相談者の多くは、「今すぐ辞めたい」というようなことをいきなり切り出し、相談に来る段階ですでに相当深刻な状況に追いつめられていることが少なくなかったのです。
人事の立場からすると「突然」のことに思えても、そこまで思いつめるに至るプロセスがあったはず。「もっと早く相談してもらえれば」と思うのですが、社会の風潮に立ち返って考えてみると、第三者に相談すること自体が「弱い人間のすることだ」というような土壌があることに気づきました。
日本では、各先進国に比べてカウンセリング文化が浸透していない現状があります。「カウンセリングの敷居を下げたい」という想いを叶えるために起業という道を選び、2014年にベリテワークス株式会社として法人化しました。
会社の人事担当・カウンセラーとしての立場では、いくら相談ができるとは言っても心理的に遠慮してしまう人もいるでしょう。自分の評価が下がるのではないかと無意識に勘ぐりが働いてしまえば、本音を言い出せなくなります。企業の中の人間ではなく、独立した第三者として各企業の社員の方と向き合いたいと思ったのです。
私が長年研究している『PEANUTS』(※)の漫画では、スヌーピーが「今日は調子が悪いな、カウンセリング受けてくるよ」というセリフが出てきます。『PEANUTS』のふるさとアメリカは、メンタルヘルスの先進国であり、日常の中にカウンセリングを受けることが定着しています。カウンセリングをきちんと受けているから、毎日きちんとパフォーマンスを出すことができる、という考え方です。
「ちょっと頭が痛い」と思ったら内科に行くように、「ちょっと心が疲れている」と思ったらカウンセリングを受ける、そういう文化を日本に根づかせたい。その思いで活動を続けており、独自の「スヌーピー心理学セミナー」も、メンタルヘルスやストレス、カウンセリングを身近なものに感じてもらうために始めました。
特にIT業界は、「きつい、厳しい、帰れない」といった“3K”のイメージを持たれがちで、「IT業界にいる人はメンタル不調になりやすい」「心を病んでも当然だよね」という声も耳にします。 「IT業界=メンタル不調が多い」をなくしたい。そのためにはカウンセリングの敷居が下がり「誰もが気軽に受けられる」「定期的に受けているから生産性高く仕事ができる」と思われる世の中になるよう尽力したいと思います。
※『PEANUTS』:アメリカの漫画家チャールズ・M・シュルツによる、チャーリー・ブラウンとその飼い犬スヌーピーをメインにした漫画。
ベリテワークス株式会社
代表取締役
浅賀 桃子(あさか ももこ)さん
神奈川県生まれ。慶應義塾大学卒業。ITコンサルティング会社の人事などを経て、カウンセラーとして独立。2014年にベリテワークス株式会社として法人化。ビジネスパーソンのメンタル不調者やキャリアチェンジに悩む方のケアを中心に、カウンセリング実績5,000名超。予防カウンセリングに強みを持ち、ストレス・メンタルヘルス・キャリアデザインなどのセミナーを多数開催。キャリアコンサルタント、メンタル法務主任者、メンタルヘルス・マネジメント検定I種、ストレスマネジメントファシリテーターなどの資格を持つ。スヌーピー研究をライフワークとし、カウンセリングの中にスヌーピーのコミックを取り入れた「スヌーピーカウンセラー」としても、2018年からFMラジオにレギュラー出演するなどして活躍中。
【2019年2月インタビュー】
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