No.183
カラクリ株式会社
取締役 CTO
中山 智文さん
物事を深く考えることが好きで、その最たるものが数学だと感じたことから、数学にのめり込んでいきました。
中学に入ってすぐに、塾で出題された数学の高校入試問題を自力で解くことができて、先生に褒められたのも良い体験になりました。その後、数学をより深めるために東京理科大学の数学科へ進学。
大学3年の時、「大学時代にプログラミング系のインターンをしておけばよかった」というインターネットの書き込みを見て、自分もやってみようと検索し、ITベンチャーに応募。ここで初めてデータ分析業務に携わりました。大学卒業後は、幅広い知見を身につけるため、フリーランスの道に進みました。
実は、日本国内では研究者の待遇が恵まれているとはいえず、多くの研究者が数学だけやっていくのが難しいという問題があります。この課題を解決するにはどうしたらいいか模索していたこともあり、フリーランスを続けながら、2014年にシリコンバレーへ1年留学。ITの聖地で感じたAIブームについて、しっかり勉強したいと思い、帰国後に東京大学大学院へ進学。ここで知り合った大学院同期のメンバーと、2016年に起業しました。同時期に創業されたカラクリ株式会社の創業メンバーから、「AIを通して顧客と企業のコミュニケーションデザインがしたい」という相談があって、カラクリの立ち上げにもCTOとして参加し、携わることに。現在は大学院起業メンバー全員がカラクリのAI技術開発チームに加入して、私を含め大学院と会社勤めの二束の草鞋で日々奮闘しています。まだ完成形とは言えませんが、当初抱いてた『研究とビジネス』の両立を図る環境を少しずつ整え、日本の研究力向上に寄与したいと考えています。
カスタマーサポート特化型AI「KARAKURI chatbot」は、SBI証券、メルカリ、ニッセンなど主に大手企業のサポートセンターに導入いただいており、導入前から導入後まで徹底したサポートをすることで、運用者の負担を減らし継続的に使いやすいサービスとして評価をいただいています。私たちは、AIは特別な知識がある人だけが使えるものではなく、誰でも使える技術である、というコンセプトでサービスを作っています。お客様からのフィードバックをもとに調整を重ね、複雑な機能を削り、どんな人でも簡単に使うことができるようにしています。使いやすく正答率95%という高性能であるチャットボットサービスとして、これからさらに知ってもらえるよう、サービスのアップデートを行っていきます。
働くうえで大切にしているのは「Keep Excellent」。これは、カラクリの掲げる3つのバリューのうちの1つですが、最も気に入っている言葉です。BetterやBestで満足せず、改善点を見つけて高みを目指していく。物事を深く考えることが好きな自分にとっては、仕事を通して常に深く考えていく作業は苦痛ではなく楽しみのほうが大きいです。フリーランスで仕事をしている時の仕事とは、“命を削ってお金に換えるもの”という状態でしたが、現在は仕事について、“自分の人生に必要なひとつのパーツ“だと捉えています。仲間にも環境にも恵まれているので、これからも思う存分物事を深く突き詰め、Excellent を目指していきたいと思います。
『エンジニアのためのマネジメントキャリアパス』[ Camille Fournier著 / オライリージャパン ]
今CTOとして働くうえで、非常に参考になる内容でした。マネジメントをする人が抱える不安も解消できる良い本です。
カラクリ株式会社
取締役 CTO
中山 智文(なかやま ともふみ)さん
1992年生まれ。東京大学大学院で機械学習技術の応用研究を現役で行いながら、機械学習の社会実装を推進するため、2016年10月カラクリ株式会社CTOに就任。学部在学時よりビッグデータ分析、Web開発、スマートフォンアプリケーション開発などを請け負う。学部卒業後、フリーランスとして仕事を続けながら、シリコンバレーに1年間の留学。コンピュータサイエンス、特に情報セキュリティについて学ぶ。好きな数学は代数的数論。
【2020年2月インタビュー】
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