思えば、「NHKのアナウンサーを辞め、MBA取得のためにアメリカに行く」ことを選んだことが、現在の仕事の道筋につながっていたようです。留学する2日前に息子が発達障がいということがわかり、留学中につくりあげた「発達障がいの力を活用したビジネスモデル」がビジネスコンペティションで優勝。そして、起業など微塵も考えていなかった私の背中を、留学先の学長が押してくれたことも手伝って、発達障がいの方に向けた人材紹介・就労支援を行う会社を2009年9月に日本で設立しました。
留学先では、リーダーとしての働き方を含めビジネスのすべてを学びましたが、MBA留学で得た最大の成果は、“優秀な人”に対する定義を確立できたことです。優秀な人が世界や人をどのように捉えているのか、社会や歴史のなかでビジネスをどのように捉えているのかを知ることができ、自分と周囲の双方に喜びを得るために考え行動を起こしている多くの人たちと、ネットワークできたことの価値は大きかったと思っています。
起業して約2年半、発達障がい者の雇用・育成の分野では世界のトップレベルにあると自負しています。私は、マイノリティこそ最先端の技術を学ぶことが大切だと考えているのですが、当社の訓練生がさまざまな企業で活躍している姿を見るのは嬉しいです。そして、将来的には社内に彼らの働けるセクションをつくって雇用していきたいと考えています。
私が、仕事に取り組むうえで指標としているのは、「満足させるより、感動させる」です。ジャンクを量産するのではなく、「本物主義」でありたい。それは決して、“国宝”的なものを指すのでなく、限りある資本のなかで英知を絞り、自分たちの力を最大限に発揮して本物を追究していく。それが心に響くものとなり感動につながっていく。さらには、私自身の存在証明にもなっていくと思っています。
また、今の仕事に限らず働くうえで最も難しいのは、「どうやって人を理解していくか」だと思います。お客様も、障がいがある方も、一緒に働いている人もみんな、同じ時代に同じ言葉を話し、同じような教育を受けてきているのに、価値観は千差万別。それをどう理解し、経済的に持続させながらミッションに近づけていくか---。難しい課題ですが、挑戦しがいのあるテーマです。
人が一番難しい。だからこそ、人に響く仕事をしていきたいと考えているのです。
はい。
大金が手に入っても、おそらく今と変わらない生活をしていると思います。
まだないです。
仕事が一番だと考えています。仕事が中心にあって、健康や家族が大切。
これになりたい、という職業はなかったです。
Charm(チャーム)。人を惹きつける可愛げのある人になってほしいですね。
「友達」。パソコンはとても近しい存在。ことにExcelは大好きです。
ケロッグ大学でExcelを1年学んで上達し、ティーチングアシスタントを務めていました。
まだ、成功体験はないのですが、これまでの経験で言うとすれば「失敗を繰り返す力」。
大統領選挙を見ます。選挙戦には“世の中のすべて”が詰まっていると思っています。
テレビや新聞はほとんど見ません。本もそれほど読みません。
2000年、東京大学経済学部卒。NHKアナウンサーとして報道・制作を担当。2007年からKellogg (ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院)留学。MBA。渡米中、長男の診断を機に発達障がいの能力を活かしたビジネスモデルを研究。帰国後にKaienを創業。
【著書】 『発達障害の子をもった私が起業家になったわけ ~弱みを強みに変える全米No.1のビジネスプラン~』
(ダイヤモンド社) 2012年夏以降 発売予定