生業(なりわい)という言葉が好きです。
高校生の時、地元の郷土史のなかに出てきて、好きになった言葉です。辞書によると、「生活を営むための仕事」という意味だそうです。生まれ育った実家が商売をしていたこともあって、学校が休みの日は商売の手伝いをするということが多かったように思います。小さい頃から生活のなかで「休日」というものをあまり認識していなかったせいか、「休日をエンジョイする」ことが今でもとても苦手です。
私がパソコンと出会ったのは小学3年生の頃で、それから独学でプログラミングなどを覚えて、パソコン通信やインターネットでフリーソフトを公開する活動もしていました。自分が作ったものをたくさんの人が使ってくれて、感謝してくれるとても楽しい経験でした。その一方で、ネットを通してプログラマとして企業で働いている方たちと交流していると、それが仕事としては全然楽しそうじゃないということも感じるようになりました。でも、よく考えてみると、自分にはそれくらいしかできることがないし、自分の能力を生かせるのはこの仕事なんじゃないかとも考えるようになりました。だったらもっと楽しくプログラミングができる仕事を、自分で作っちゃえばいいと考えたのです。
大学卒業後は、フリーのエンジニアとして活動してきました。大規模なシステム設計から、自動販売機やプリンタ、新しいウェブサービスの開発などジャンルの違う仕事にいろいろ挑戦してきました。現在、メインで取り組んでいる、全国の図書館の本を簡単に検索できる『カーリル』というプロジェクトもそんななかで仲間たちとアイデアを出しあって生まれたサービスです。
自分にとって働くことは、生きることで、それはそんなに飾らない“生活そのもの”だと思っています。せっかくなら、楽しく生きたいし、楽しい仕事がしたい。ウェブと図書館をつなぐ『カーリル』の取り組みも、そういう部分を大切にしていきたいと思っています。
はい。大好きです。
秘密基地を作る。
自分が開発に関わった商品やサービスを、目の前の人が知らずに使っているとき。
家族。
大工さん。
仕事は片づけるものではなく、自分でつくるもの。
少人数でも、お金がなくても、新しいことに挑戦できる道具。
人の悪口を言わない。
温泉に入る。
1982年生まれ。慶応義塾大学 環境情報学部卒業。小学生の頃からプログラミングを始め、高校時代に有限会社アール・ワイ・システムを設立、代表取締役を務める。2012年6月より、日本最大の図書館蔵書検索サイト『カーリル』を運営する株式会社カーリルの代表取締役に就任。