“人が変わる瞬間”のお手伝いをしたい――。その想いが明確になったのは、日本銀行、マッキンゼーと働いて、ある程度キャリアを積んだ後でした。
大学時代の就活は、“社会見学”だと捉えていたので、あらゆる業種のさまざまな企業の説明会を回りました。そのなかで、日銀だけが、何をしている組織なのか判然としなかったため、知りたい一心から就職しました。入社時の90年代後半は、10の都銀が4に減る、老舗の大手証券会社が破綻するなど、金融機関の不良債権問題が表面化した時代で、私が所属する部署は、創立以来の忙しさだと言われていました。その分やりがいもあり、世の中のお金の動きや企業の全体像を見ることができるなど学ぶことも多かったのですが、人から「ありがとう」と言われる仕事に興味を覚え、20代後半にコンサルティング会社に転職しました。
マッキンゼーでは、仕事ではなく、“一緒に働く人”でプロジェクトを選んでいたため、多種多様な分野の仕事を手がけました。入社から8年強が経過し、ビジネススキルと人脈は培われたと自負していましたが、「君は、何屋なの?人生のビジョンは何?」と問われたときに明確に答えられなかった。そこで改めて、「人生を使って自分は何をしたいのか」ということを突き詰めて考えました。いろいろそぎ落としていくなかで最後に浮かんできたのは、“人が変わる瞬間”に関わる仕事をしたいということ。そして、組織や人の変化を後押しする「変革屋のプロ」として働くために、数年前に自分で会社を立ち上げました。
当社では、変化へ踏み出す一歩を支援するため、各社各人に合わせたカスタマイズの研修やワークショップを行っていますが、“変化”という成果が出るまでを自分の仕事としてコミットしています。“人が変わる瞬間”は本当に劇的なもので、変わろうとする人の前向きなパワーは、良い縁を生み、素敵な人たちを引き寄せます。そして、そこで化学反応が起きて、さらにより良い方向へ向かうことができる。変革に向かっていく人たちの傍らにいると、自分も多くのパワーがもらえるし、とても幸せです。
私にとって働くこととは、「人とのつながり」。これは人生においてもとても大切なことだと実感しているので、これからも多くの人たちの“変わる瞬間”に携わっていきたいと思っています。
大好きです。
世界中を巡っていろいろな人に会ってみたいです。
なかでも、南米や人間の原点の地であるアフリカなど、自分にとって未知の土地に行ってみたい。
“人が変わる瞬間”に出会ったとき。例えば、「3カ月でチェンジメーカーになる」という個人向けプロジェクトの参加者のお一人が、プロジェクト終了後に大手企業を辞めてナチュラルセラピストの道を目指してアメリカ留学することに。短期間でガラっと人生を変えていくのを間近で見て驚きましたし、そのパワーに感動しました。
人生。私にとって人生とは、“人との関わり”そのものなので、家族、仲間、そして仕事もその一部になります。
スパイか探偵。映画『007』に影響を受け、どうやったらスパイになれるのか、CIAへの入り方などを真剣に調べていました。“スパイに向いていない”とあきらめた後は、英語が好きだったので外交官になりたいと思っていました。
胆力。
変化の激しい世の中を生き抜いていくには、ガッツが必要ですし、コミュニケーション能力も必要です。そして、これらを身につけて、何か新しいものを生み出すクリエイティブな人になってほしいですね。
1にコミュニケーションツール、2に時短ツール、3に世界への窓。
真摯であること。
子どもと散歩。
現在読んでいるのが、『スタンフォードの自分を変える教室』 [ケリー・マクゴニガル著/ 大和書房] 。
その他には、『幸福優位 7つの法則 仕事も人生も充実させるハーバード式最新成功理論』 [ショーン・エイカー著/ 徳間書店]。これはポジティブ心理学の本で、成功するためにストイックに頑張る人より、根拠がなくとも自信を持ち、幸せな気持ちでいる人のほうが成功する、というようなことが解説してあります。研修を行う際に、プレッシャーで萎縮している人に向けたアドバイスの参考にしています。
1973年 愛知県生まれ。東京大学卒業。日本銀行での勤務を経て、マッキンゼーアンドカンパニー入社。シカゴオフィス勤務後、同社アソシエイトパートナーに。8年強の間、金融、小売、通信、公的機関など数多くの企業の経営変革プロジェクトに従事。マッキンゼーを退職後、企業の「変革」デザイナーとしての活動を開始。ChangeWAVEを創立し、変革実現のサポートと変革リーダー育成に奔走中。